2019年新春対談

2019年新春対談

医療法人医誠会は「持続可能な医療介護システム」の構築を目指し、独自の統治機構改革に取り組んでいます。 この対談では、吉峰 俊樹 特別顧問と峰松 一夫 臨床顧問が、医誠会独自のシステムについて語り合いました。

吉峰 俊樹 特別顧問 (写真左)

  • 1975年 大阪大学医学部卒業、阪大病院、県立西宮病院、府立成人病センター研修
  • 1980年 米国メーヨークリニック神経学教室研究員
  • 1983年 行岡病院脳神経外科部長
  • 1987年 大阪大学医学部助手(脳神経外科)
  • 1995年 文部省長期在外研究員(ドイツ、米国)
  • 1998年 大阪大学医学部教授(脳神経外科)
  • 2005年 大阪大学医学部附属病院脳卒中センター長
  • 2010年 大阪大学医学部附属病院副病院長、未来医療センター長
  • 2016年 大阪大学名誉教授、大阪大学国際医工情報センター特任教授

峰松 一夫 臨床顧問 (写真右)

  • 1977年 九州大学医学部医学科卒業 第二内科入局
  • 1979年 国立循環器病センター内科レジデント
  • 1982年 国立循環器病センター内科脳血管部門医師
  • 1989年 同センター研究所脳血管障害研究室 室長
  • 1990年 米国Massachusetts大学医学部留学(Marc Fisher教授)
  • 1995年 国立循環器病センター 内科脳血管部門部長
  • 2010年 国立循環器病研究センター副院長
  • 2016年 国立循環器病研究センター病院長
  • 2018年4月 医療法人医誠会 理事・臨床顧問

他の医療機関には見られない充実の採用システム

峰松 医療法人医誠会には多くの独自システムがありますが、一番びっくりしたのは人材採用のシステムがしっかりしていることです。医師対策部、看護師対策部、看護補助者・介護職員対策部など、各職種の採用専門部署があり、外国人職員もこれから積極的に採用していこうとしています。

吉峰 確かに驚きのシステムだと思います。他の病院では、看護師の採用は基本的に看護部長の役目で、毎年、特に4月からの新人採用に向けて多大な労力を費やしていました。この点、医誠会グループでは専門特化した採用部門が一年中活動し、現場のニーズに細かく応えています。看護部長は本来の看護管理の業務に専念できています。

峰松 公的な病院においても、必要な看護師の定数を確保できないため、病棟を閉鎖した例もあります。ベッドも余っているところがあって、それを整理して、ひとつ病棟をつぶしてしまう。看護部長室まかせの採用を行っている病院では年度途中のリクルートはきわめて困難です。

吉峰 そうですね。年度途中での退職や休職には大学病院でも苦労しており、次年度まで補充ができず欠員のまま、ということもよくありました。この点、医誠会では看護師対策部が、欠員の予定を早くから把握して、計画的に採用活動を行っています。施設運営と看護に支障をきたさないよう、頑張っていますね。

峰松 医師の採用は国立病院も含めて、人事は各診療科に任せているのが現状ですね。部長、医局長あたりに責任があって、人間関係で集めていくので、うまく行けば、特定の大学や大病院の人材等が継続的に派遣されてきますけど、人事が完全に医局のコントロール下となるため診療なんかも大学流になってしまう。うまく行かない診療科はぜんぜん人が集まらない。最後は病院長の責任で人を集めてこなければならない。

吉峰 医誠会グループでは、大学ルートと独自ルートを併用していますが、独自ルートでは様々なノウハウを蓄積しています。医師の募集は、グループが施設ごとに作った運営計画「グランドデザイン」に基づき、医師対策部がこれに沿って主に独自ルートでタイミングよく採用しています。大学頼みではこのような機動性は望めません。私は偶然、採用に関わる機会がありましたが、医師対策部の方は応募医師とじっくりと丁寧に面談され、本人の希望や能力、適性をよく把握していました。さすがは採用のスペシャリストだと思いました。これが採用後、医師側も病院側も満足度が高い要因だと思います。

教育システムの秀逸さも医療法人医誠会の特長

峰松 先日、研修医の前でお話をさせていただきましたが、レスポンスのよい研修医が集まっており、卒後研修の充実が伺えました。医師が研修施設を選ぶときは、相互に情報交換を行いながら研修施設を選択しています。将来のスタッフ採用にも繋がりますので、私も協力できればと思います。

吉峰 教育の面ではとくに看護師の教育システムはよくできていると思います。看護師の方々のレベルは非常に高く、てきぱきとしています。患者さんへの対応もうまくサポートしていただけます。診療のサポートといえば、外来診療では医療クラークの方々にお世話になり有難く思っています。

峰松 そうですね。私たちの感覚から言うと、医療クラークが桁外れに配置されています。その上、医師がまとめると長文で要領を得ない診断書が出来上がることもありますが(笑)、医療クラークのサポートを受けると余分なことがない。書くべきことが書かれている。

吉峰 クラークからのサポートは大学病院等では十分ではありませんでしたが、医誠会病院では書類作成についても、ほぼ100%サポートしていただけます。そして峰松先生の言われる通り、要を得たサポートで安心ですね。医療クラークのみなさんも日々よく勉強されているのだと思います。グループ全体の職員教育という面では、一昨年から全職種で「業務の標準化」が始まりました。効果の検証はまだですが、これは医療関係では珍しく、あらゆる職種で絶対に必要なものであり、今後全国に広まるのではないかと思います。

峰松 私が経験してきた病院では、人事面や予算的な制約が非常に厳しくて、病院運営において10年計画でしかできない環境でした。私が病院経営を担っていたときに、実現したかったシステムが医療法人医誠会にはあります。例をあげれば、法人内に常駐している弁護士が、コンプライアンス推進室・リエゾンルームの運営を行っており、体外的な問題、患者さん・職員間の問題に積極的に取り組んでいる。警察のOBを採用し危機管理に対応し、一級建築士がいるファシリティマネジメント部は災害時の施設復旧に緊急性を持って適切・迅速にしかも低コストで対応しており、デザインの専門部門の企画デザイン室も充実している。これは、経営のトップが合理的な決断を繰り返してきた成果と言えると思います。

吉峰 私もそう思います。どれも先例がないうえ、費用も必要になりますがトップとして「職員が働きやすく、効率的な組織をつくる」ことを考え続けている谷理事長ならではの発想と決断によるものだと思います。また、医誠会グループでは職員レベルでも業務の効率化に向けて様々工夫されています。こちらも大切で、トヨタの「カイゼン」活動のようなものに育って欲しいと思います。

吉峰・峰松 激動する昨今の医療業界のなかで、グループ職員が一体となって「患者第一、職員満足、グループ満足、社会貢献」を追及していかねばなりません。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。